前のページ(陰陽の印と八卦)では、主に陰と陽の書き方、八卦(はっか)の記し方について学びました。
このページでは、陰と陽の意味や、八卦それぞれの意味について要点を学びます。
ではまず、陰と陽から始めます。
陰は、━ ━
陽は、━━━
それぞれ、このように書き記す約束であることは、前ページで学びましたが、陰と陽には下記のように、それぞれ特徴があることを知っておく必要があります。
……等々、全ての物事・事柄は、この陰陽に当てはめられるとされています。
そして、こうした意味を持つ「陰」と「陽」の二つが色々に合わさって、次の八卦(はっか)を作るわけですから、上記のイメージをもった上で、下記の八卦を考えてみることが大事です。
易経の八卦の書き方については、前のページで学びました。
ここでは、その八卦(8種類ある卦)について、それぞれの意味を学びます。
八卦(はっか)それぞれの意味のことを「象意(しょうい)」と言います。
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これは、三つすべてが陽で成っている、唯一の卦(か)です。
ですので、上記に記した「陽」を象徴する事柄が、より強調された存在と言っていいでしょう。
したがって「乾」の象意(しょうい)としては、
その他に、一家で言えば「夫・父親」を指すことも覚えておくと良いと思います。
「乾」といったら、自然とそのようなイメージが頭に浮かぶようにしましょう。
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これは、先ほどの乾と対照的に、三つすべてが陰で成っている、唯一の卦(か)です。
ですので、このページの初めに記しました「陰」を象徴する事項を、より強調した存在と言ってよいでしょう。
「坤」の象意(しょうい)としては、先の「乾」の逆として、対のイメージで覚えておくと良いと思います。
したがって、一家で言えば「妻・母親」ということになります。
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この「兌」は、イコール「沢」なのですが、「沢」とは皆さんご存知のように山の間に流れる川ですね。
上の陰陽印で表した形を見ると、なんとなくそんな形に見えませんか?
下にある陽の二本の印が川を表し、その上に陰の印が乗ることによって、山の間に流れるような感じが伝わってきます。
そこから「兌」の正象(せいしょう)を「沢」としています。
また、二つの陽の上に、一つの陰が乗っています。
「陽」は尊く強いものですが、その上に小さく弱い者が乗っかっているのです。
この小さく弱いものは、この状況を喜ばないはずはありません。
したがって「兌」には、
また、
などという意味もありますが、これは陰陽の印をちょうど人間の頭上から見たかたちに由来しています。
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下の二つの陽が「頭」であり、陰が「開いた口先」です。
上の方向を見ていると言えば良いでしょうか。
ちょっと解りづらいかもしれませんが、イメージを重ねてみてください。
また「兌」のかたちは「乾」の三陽の内のひとつが欠けているかたちとも言えます。
そこに由来して
また、一家で言えば「三女」を象徴するものであり、転じて幼い女の子を指します。
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この「離」は、イコール「火」なのですが、これも陰陽の印のかたちを見てみてください。
丸い太陽を描いているように見えます。
太陽は火の塊ですから、太陽のように見えるこの形を「火」としたようです。
そのように「離」は火に由来するので、象意(しょうい)としても、
また「火」をつけて燃やすと、燃え尽きて何もなくなるところから
といった意味もあります。
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この「震」は、イコール「雷」なのですが、陰陽の印のかたちが雷というわけではなく、このかたちは「地下で根が連なっている草のかたち」とされています。
下の一つの陽が、連なっている根であり、上の二陰が、地上に伸び生えた草を表しています。
そこから「震」の卦(か)には、草の意がありますが、易経を読む上で主となってくる象意(しょうい)としては「雷」や「地震」などからイメージされることのほうが多いです。
具体的には、
…等々です。
またこの「震」の形は、先ほどの「坤」(何もない)ところに、ひとつの陽が現れた形と見て、
という象意も持っています。
それにちなんで、一家で言えば「長男」を象徴します。
なぜなら「子供がいなかったところ(坤)に、ひとつの陽(男)が生ずる」わけですから、長男を指すのです。
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この「巽」は、イコール「風」です。
これは、陰陽の印のかたちを見て、解りやすいと思います。
このページの頭のほう…「陰と陽のそれぞれの意味」の中に、「陽が天であり、陰が地」と記しました。
この巽の一番下のひとつの陰を「地」と見て、その上の二つの陽を「地の上を吹く風」と見るのです。
なんとなく絵的に、そう見えますよね。
象意(しょうい)としては「風」に由来し、
などというものが代表的です。
また、ひとつの陰が二つの陽の下に入り込んでいることから、
といった意味にもなります。
また弱くて軽いひとつの陰の上に、重たい陽が二つものっており、
といった意味にもなります。
一家で言えば、この巽は「長女」を表し、転じて年若くはない女性を指すことにもなります。
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この「坎」は、イコール「水」です。
「兌」のところでは、陰陽の印のかたちを山と川に見立てましたが、この「坎」でも同じです。
真ん中の陽が「川」であり、両脇を挟む二つの陰が「山」にあたります。
これは真上から俯瞰している感じで、山と山の間に川が流れているのです。
真ん中が窪んでいるわけですね。
実は「坎」の場合、この「落ち窪んでいる」ということが重要でして、そこに由来し
などといった困難を意味します。
また「水」は、一時も休むことなく低いほう低いほうへ流れ、移動し続けます。
そこから
といった意味合いも強いです。
また、少し違った見方…、何もないとされる「坤」の中に、一本の芯(陽)が通ったかたちに見て、
といった、芯があるような見方をすることもあります。
また、一家で言えば「次男」に当たります。
これは、長男の一陽が初爻であったのに対し、次男は二爻にずれています。
時間の経過は、初爻 → 上爻へと進むことは、「爻(こうについて)」のページで学びましたね。
初爻が初めに生まれた長男であり、二爻はその後に生まれた男子です。
この考え方は「長女」や「次女」などでも、全て同じです。
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この「艮」は、イコール「山」です。
もう皆さんも慣れてきたかと思いますので、パッと解ったかたも多いのではないでしょうか?
見たままのかたちが、もう「山」ですよね。
象意(しょうい)としては「山」に由来し
などの意味があります。
また、山というのは土を積み重ねて出来ていますので
という象意もあります。
そして、陰陽の印のかたちを山ではなく「門」のかたちとして見ることもあります。
また、一家で言えば「艮」は「三男」に当たります。
これで一通り、易経の八卦(はっか)についての説明は終わりましたが、
ここに書き挙げたことは要点に過ぎず、まだまだ色々な象意があります。
ですが、初めから詰め込み過ぎると、かえって要点がぼやけてしまうので、大事なことだけを書き連ねました。
これで充分、易経自体を読むことが出来るはずですし、ほとんどの占いに通じると思います。
なお、解りやすく書くために「乾」の次に「坤」の説明を書きましたが、一般的な順序としては、
「乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤」
(けん・だ・り・しん・そん・かん・ごん・こん)であり、これを呪文のようにスラッと言えるようにするのが本来のかたちです。
正象(せいしょう)では、
「天・沢・火・雷・風・水・山・地」
(てん・たく・か・らい・ふう・すい・さん・ち)ですね。
これもスラッと言えるようにしましょう。