〈爻辞〉
「家人嗃嗃。悔厲うきあれども吉。婦子嬉嬉たれば、終に吝」
〈読み方〉
かじん かくかく。くい あやうきあれども きち。
ふし ききたれば、ついに りん。
<爻辞の意味>
「厳格できびしすぎる。それは危ういことであり悔いることもあるが最終的には吉。女や子供が嬉々とするなら最終的には恥ずべきことになる」
「風火家人」の卦は「一家の人」について説かれた卦です。
そんな中この三爻は、家の治め方が厳格すぎて、家族から不満が出たりして危うさがあります。
しかし反対に寛容がすぎ、家の女や子供らが一日中、嬉々とし楽しんでいるようでは最終的には恥ずべきことになります。
ですので、家の治め方は寛容すぎるよりは、やや厳しすぎるくらいのほうが良いと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
この爻は内卦の極にあって、火の激しい面の表れるところです。
しかし卦が家人なので、他の卦の場合のように兵を用いたりすることはありません。
一家を司る厳君について言えば、厳格さを通り越して少し酷烈のきらいを生じますし、また家内の側について言えば、華やかさ・騒がしさが少し度を超えて乱れが生ずるというのが、家人における極火のかたちとして適切でしょう。
それが「嗃嗃」であり「嬉嬉」であります。
嗃嗃は、火の勢いの激しい熇々を言葉の上に推したもので、口やかましく厳格なことの形容でもあります。
嬉嬉というのは、和悦笑楽の形容です。
家人は寛なるよりは厳なるを尚ぶものなので、家君の嗃嗃たるは厳に過ぎて中ならぬ悔いと危うさがあっても、その猛烈さを恐れて家道の法を失わないので吉が保たれます。
しかし子女の嬉嬉たるは、ついにそれを失って吝を見るというのです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)