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<爻辞>
「中行公に告げて従わる。依りて國を遷すことを為すに
用うるに利ろし」
<読み方>
ちゅうこう こうに つげて したがわる。よりて くにをうつすことを なすに もちうるに よろし。
<爻辞の意味>
「中庸の徳にて君公に事を告げ、君公もこれに従う。頼りとするものを求め都を遷すのがよろしい」
「風雷益」とは「物を増す。益すること」について説かれた卦(か)です。
そんな中この四爻は、国や人民を益すために都を遷すべきと進言します。
それには強国を頼ったり、地形や交通、土が肥えている場所であったりと、頼りとすべきものは色々です。
この四爻はそれを見定めるだけの力を持っているため、これだけの大きな仕事をなすのがよろしいと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
これが上を損して下を益してやる当事者とも言うべき爻です。
否の外卦乾の三陽中の一つを初位に益してやったわけです。
その動きをどんな風に推究しているかと申しますと、乾を君とし、坤を邦としますが、それに一つの変化を与えて他に移したのですから國を移したという爻象を当てています。
それは結局、都を移すことでもありますが、何のためにそうするかと言えば、民を益すためです。
國を遷すなどということは重大なことですから、少しくらいの不便などでは為し得ないのですが、あえてそれをするのは、否のまったく梗塞した状態を打開して困しんでいる庶民を益してやる……そのためにこそなるのです。
しかも、それは時とともに行うのです。
そうすることによって民の幸福となるような時にのみ行うのです。
そのように時に適い、時に応じているのが「中行」でありますが、そうは言っても、それがいかにも重大であることに変わりはありません。
それで、君側に居る、この爻の独断で行う事などは思いもよりません。
君に申し出て、聞き入れられた上で(従わる)、君の恩徳を頼りに(依りてとあるのは拠り所とすること)して、初めてそれを行い得るというのが爻辞の内容です。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)