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<爻辞>
「其の限に艮まる。其の夤を列く。厲うくして心を薰す」
<読み方>
そのげんに とどまる。その いんを さく。あやうくして
こころを いぶす。
<爻辞の意味>
「腰が止まる。腰のすじを裂く。危ういこととであり、心は煙でいぶされるようだ」
「艮為山」とは「止まる」ことについて説かれた卦(か)です。
そんな中この三爻は「腰が止まっている」と言っています。
この艮為山は確かに「止まる卦」ですから、基本的には止まっていることが正しいのですが、
しかし動くべき時にも止まっているのは良くありません。
この三爻は「止まること」に偏り過ぎている者です。
ですので「腰のすじが裂ける」と言っていますが、これは人と意見を交わすことを断っていることの喩でもあります。
独りで頑なに「止まっているべきなのだ」と思い込んでいるようなものです。
ですから危うい状態であり、また本人も心の中では不安をいっぱい抱えていると言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
限というのは限界の限で、上体と下体との際にあたる腰のことを指し、この爻の位置にも当たっています。
腰に艮まると言えば、まったく体を動かさないのです。
この爻は内卦の艮の終わるところにあって「動くべき時に動く」という考えで、下体は止まり上体は屈伸させて身動きもしないので、肩こりに注意しなくてはならないのですが、内卦の艮の主爻で止まることを専らとする偏りがあります。
動かないことに固執するため背骨の裂けるような痛みを感じ、焦心するのです。
艮をもって背と見ますが、それが互体の坎の主となっているので、背骨が痛むことに喩えたわけです。
夤というのは背骨のことで、列は裂と同じです。
そして、その背中を裂くような肉体の痛みを、精神上に推せば、灼くような思いであると言うのです。
同じ灼かれるにしても、坎は離の伏卦ですから、炎々と燃えるような激しさではなく、煙に燻されるような危機感にも似た焦心と言えるでしょう。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)