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<爻辞>
「鼎実有り。我が仇疾有り。我に即く能わず。吉」
<読み方>
てい じつ あり。わが あだ しつ あり。われに つく あたわず。きち。
<爻辞の意味>
「鼎(かなえ)の中に、具が入っている。病がある。自分を汚すことはできず吉」
「火風鼎」とは「養い」について説かれた卦(か)です。
「養いの卦」と言えば「水風井」も同じでしたが、水風井は「水」をもって養い、 こちらの火風鼎は「火」をもって(食べ物を作り)養うという卦です。
そんな中この二爻では、鼎(かなえ)の中に料理するための具材がいっぱい入れてある状態です。
「鼎」とは、三本脚の付いた器のことで、鍋のように煮炊きできます。
初爻の時、鼎を逆さまにして中の塵やカス出しましたが、二爻ではそこに料理するための具材を入れました。
しかしまだ、すぐ近くには先ほど出した塵やカスがあります。
(これを病に喩えています)
この塵やカスが、まとわりついてくるわけですが、料理が汚れてしまわないようによく注意しているため吉だと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
ここでは「我が仇疾有り」と言っています。
その「我が仇」というのは、初爻を指すと見ます。
何故、仇を見たかと言うと、二と五爻は応じているので、この二爻は鼎の実あるその誠を、五爻に進むのが正しいとしますが、初爻とも比するため、そちらにも惹かれてしまいます。
それを喩えてみると、自分が正しいことをしようとするのを傍らから好むことで誘いかけて来てジャマをする……そんな風に自分につきまとう様子を仇のようなものと考えているのです。
では、その仇はどれほどの強さの誘惑をもっているかと言えば、さほど強くはありません。
「我が仇疾有り。我に即く能わず」とあるように、我が仇は病気を持っています。
というのは、逆さまにして出さなくてはならない悪しき病があるわけで、それを革めるということに係わって、二爻につきまとうことに専念できないのです。
実のあるものも、その進む方向を間違えれば、卑近に泥んで大事を失うことになるので、よく進退を慎んで、ついに咎めなきを得るのだと説いています。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)