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〈爻辞〉
「繋ぐに徽纆を用う。叢棘に寘く。三歳得ず。凶」
〈読み方〉
つなぐに きぼくを もちう。そうぎょくに おく。さんさいえず。きょう。
<爻辞の意味>
「頑丈な縄で縛った罪人を牢獄におく。三年経っても改心できず凶」
「坎為水」の卦(か)は「困難に処する道」について説かれている卦です。
そんな中この上爻は、弱い上に道徳もない者なので、困難を抜け出すことなどできません。
そうして罪人に落ちぶれ牢獄に入れられるのですが、このような者は三年経っても改心することができず凶だと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
前に火雷噬嗑という卦を説明しましたが、噬嗑は坎の法を犯した者を処罰することに象って各爻を見ておりました。
その初爻には「校を履きて趾を滅す」とあるのに対応して、上爻には「校を何いて耳を滅す」とありました。
噬嗑の初爻罰を被るの初めに当たり、上爻は罰を受けるの極に当たっていたわけです。
このことを思い出しながら、この坎為水上爻について考えてみると良いでしょう。
世の中の坎苦に耐えて己を全うし得るのは、この卦の剛中のものに限られたことで、陰柔には難しく、人生の落とし穴に落ちてしまうのが普通です。
その例を初爻において、三爻において見ましたが、その最も甚だしいものを、陰柔をもって重険の卦の極みにいるこの上爻の上に考えてみようとしているのです。
噬嗑に対比して説けば、坎為水の初爻は噬嗑の初爻です。
重険に耐えずして坎萏に入るとは言え、道を失って凶とあるのは、すでに凶というのではなく、凶に至るであろう成り行きを予見しての辞でした。
しかし、この坎為水上爻では、既に道を失って凶の事態に至ってしまっています。
噬嗑の上爻「校を何いて耳を滅す」ところに当たっているのです。
「徽纆」の徽は、三股の綱、纆は二股の綱のことで、いずれにしても縄であり、それを繋ぐために用いるというのは、罪を犯した者への戒めです。
また「叢棘」の棘というのは「いばら」ですから、いばらの繁みで、囚獄の喩えです。
そのような刑を加えて、三年の長きにわたって自由にさせないというのは、まったく道に復る望みがないことを示すものです。
凶の甚だしいものと言わなくてはなりません。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)