火山旅(かざんりょ)本卦

独学者のための易経解説
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火山旅 本卦

かざんりょ ほんか



火山旅 本卦の解説

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〈卦辞〉 
「旅は、小しく亨る。旅は貞にして吉」

〈読み方〉
りょは、すこしく とおる。りょは ていにして きち。



〈説明の要点〉

前に風火家人という卦がありましたが、それは内に火を止める象意から家と見ましたが、この卦はその火が内卦艮の外に離くので、これを旅であるとしました。

旅と言ってもそれは物見や遊びで遠出をしているのではありません。

位を失って家を捨て国を離れているとか、または外交や商取引などのため他国へ出ているというのがこの卦の象意です。

ですから、大いに楽しむというよりも、憂き思いや不自由な思いを絶えずしているわけです。

その辛酸の中に自己を修練し、諸国の風俗を観察したり、知己を求めたりして故旧を復活する基礎を作ったり、困苦に耐えて命を果たし、あるいは商利をもたらすなどが旅の役目なのです。

ですから、誰しも旅は好んですることではないですが、そうしなくてはならない時に当たってする……その意義は大きく、また深刻です。

そのことを私たちがイメージするには、飛行機はもちろん電車も、自転車すらない、道路や旅館も完備されていなかった時代を想像しなくてはなりません。

そうすると内にあって家人の表徴であった火が、艮の門外についた象のあるこの卦に、旅の意を見たことが、いかにも自然な着想と思えてくるでしょう。

そういう旅ですから、たとえ亨通を求める行いではあっても、大いに得ることは難しいわけです。

本当に「旅は、小しく亨る」のが現実であるとともに「小しく亨る」ことをもって足れりとすべきで、旅はまた「貞にして吉」なのです。
この旅は、三陰三陽卦です。

元は天地否であったところ、否の五爻と三爻が入れ替って成されたのが旅です。

内卦にあった一陰が外へ行って、上と四の間に位を得たのは、旅にあっては身を小さくして剛健な人に従わねばならないのに似ています。

また、内卦の艮を止まるとし、外卦の離をつくとしますが、賢にして明なる人を頼りにし、止まるべきところに止まって、そこで初めて旅の小亨を得ることができるのです。

加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)