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<爻辞>
「女筐を承けて実なし。士羊を刲きて血なし。利ろしき攸なし」
<読み方>
じょ きょうを うけて み なし。し ひつじを さきて ち なし。よろしき ところなし。
<爻辞の意味>
「女が贈られたカゴを開けてみたが空であった。男は羊を割いたが血がなかった。良いところがない」
「雷沢帰妹」とは「正当ではない」ことについて説かれた卦(か)です。
正当ではないということを、女がお嫁に行くことを例にして、各爻で説かれています。
そんな中この上爻では、女が結納として贈られたカゴを開けたら空っぽで、男が宴会で羊を割いたら血がなかったと言っています。
羊を割くのは神や祖先をお祀りし、親類や客人をもてなすためですが、「血がなかった」のでは、それが出来ないことになります。
これは、結婚する男女双方に誠意がないことの喩えであり、このようであれば何も良いことがないと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
女とあるのは兌を指し、士とあるのは震を指しています。
帰妹と言わずに士と言い、女と言っているのは、卦の終わりにあって、すでに婚約したところに当たるからだと言えるでしょう。
そしてまた、筐とは、竹で編んだ籠で、震の象ですが、画卦の内側は空虚です。
また羊とあるのは、兌の象ですが、三四五の互体の坎の血を上に失っている兌体の中には無くなっているという取象です。
上爻は、三爻と応位でありますが、三爻が須女のような卑しい女であるばかりでなく、上爻はまた陰柔で力弱い…。
しかも共に、陰をもって応じない関係ですから、上記のような取象をしています。
婚礼が済んだならば、祖先の祭祀をするのですが、妻の承けた筐は空であり、夫が生贄に裂いた羊に血を見ないというのは、夫婦にして夫婦の実を備えないことを示したもので、婚約しても、それを全うできないものであります。
筐に実がないのは女に誠意がなく、羊を裂いて血を見ないのは女を服させることができない象徴です。
それでは家道を成すことはかなわず、利ろしきところがないと言うわけです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)