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〈爻辞〉
「貞吉。悔亡ぶ。藩決けて羸しまず。大輿の輹に壮なり」
〈読み方〉
ていきつ。くいほろぶ。はん ひらけて くるしまず。たいよのふくに そうなり。
<爻辞の意味>
「正しい道を守って吉。悔いるようなことは無くなってしまう。垣根が開けて苦しむことはない。大きい丈夫な車に乗って勢いよく進んでいける」
「雷天大壮」とは「大いに盛ん」であることについて説かれた卦(か)です。
そんな中この四爻は、目の前に障害となっていた柵が開け、丈夫で大きい車に乗って勢いよく進んでいくことができる者です。
大変、勢いがありますが、勢いが付き過ぎるということはなく、堂々と進んでいけるのです。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
貞吉と、まずあるのは、二爻と同様に陰の位に陰でいて、大壮の暴進に陥らないことを言ったものです。
そして元来は、陽をもって陰位にいるので悔いあるべきはずですが、かえって悔いを消滅するばかりでなく、剛柔中和のよろしきを保って進む道が開けるというのです。
この爻は、往くことを尚んでいるのですが、なぜでしょうか?
それは、この爻が外卦震の主爻で、進む性向を持っていますし、また、この先の五爻・上爻は陰で、さえぎるものがありません。
そして、三・四爻の内外卦の境を垣根とするならば、これはその垣根を越えたところに当たっています。
それらに基づき「藩決けて羸しまず。大輿の輹に壮なり」となりました。
決とは破ることで、垣を破ると言えば、そこに道が開ける意味となります。
輿は車のついた乗物です。
震の画象を乗物とし、下卦の乾を車輪と見てのことです。
輹は車軸です。
もとより大壮は、陽の大いに壮進する卦です。
貞吉というのは、妄進を戒めるのであって、進むこと自体を咎めようとしているのではありません。
往きてなすところがなくてはなりませんが、それには心棒の丈夫な車で大道を進むように傍に外れず、中途で疲れず、焦って駈けることのないように進み、そこで初めて「大いなるもの壮んなり、大いなるもの正しきなり」と言えるのです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)