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<爻辞>
「履むこと錯然たり。之を敬すれば咎なし」
<読み方>
ふむこと さくぜんたり。これをけいすれば とがなし。
<爻辞の意味>
「今進むなら、それは物事の様子が解らないまま進むようなものだ。深く慎んで事を処すれば咎めを受けずに済む」
「離為火」は「付く・明らか・太陽・火」を意味する卦(か)です。
そんな中この初爻は「太陽・明らか」といった意味で説かれています。
この初爻は、まだ夜明け前で太陽が昇りきっていません。
辺りが薄暗い中、徐々に人や動物が動き出す時間です。
このような時というのは、物事が色々に入り乱れ、様子が定まりません。
こうした時に、むやみに進んでいくならば失敗してしまうことでしょう。
慎重を期し、太陽が昇って明らかになるまで動かずにいるべきです。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
内卦の離を一日と見て、外卦の離を次の一日とみなします。
そしてこの爻は、卦の初めにあって、いわば夜明けです。
まだ日の光が充分に地上を照らしていない…。
そのため、紛らわしく判然としないところがあるので、進むことを控えもう少し時を待った方が良い。
明るくなってから行動した方が、間違いを避けることができる。
「履む」というのは、離を「礼」とし、人の履むべき約束であるところから、それをまず卦の初めである爻の冒頭に持ってきたのです。
「錯然」とあるのは、まだ薄暗くて紛らわしいことを形容したもので、「之を敬する」というのは慎んで軽率に運ばないことです。
この卦は、すべての点において、坎とは対照的です。
坎は剛中をもって亨るとし、陰柔をもって穴に陥るとしましたが、離のほうはそれと反対に牝牛を畜えば吉とあり、陽剛なれば過ちを生ずると見て良いのです。
九三、九四、上九も、その観点から理解するのが一番良いですが、しかし内卦の陽爻は正しい位を得ているので、慎むことによって咎を避けることができるとします。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)