━━━
━ ━
━ ━
━ ━
━ ━
━ ━○
※「剥」の字は、正しくは「彔」+「刂」です。
〈爻辞〉
「牀を剥すに足を以てす。貞を蔑す。凶」
〈読み方〉
しょうを はくすに あしをもってす。ていを ほろぼす。きょう。
<爻辞の意味>
「寝台に横たわる君子を剥ぎ落とすのに、寝台の脚から始める。正しい道を滅ぼす。凶」
「山地剥」の卦(か)は「剥ぎ落とすこと」について説かれた卦です。
そんな中この初爻は、寝台に横になっている君子を剥ぎ落とそうと、まずは寝台の脚から手を付けます。
そうして、先には正しい道を滅ぼそうとするので凶だと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
私たちの生活の中で、すっかり安心したという意味を表すには「枕を高くすることができる」とか「安心して眠れる」などと言います。
良く眠れると言うのは気持ちが安らかだからで、心身の安否はまず睡眠に表れます。
その睡眠の場所が、寝床というわけで、山地剥は卦全体をひとつの寝床に見立てています。
一陽五陰の山地剥は、平地に山のある象ですが、この画象の該当するものを日常に探したならば、棚、鴨居、門、床などの象に取れますが、この卦は人間の安心・不安がもっとも関係が深いので、寝床
の象で説いてあります。
牀とは、四本脚のついた安心して横になれる寝台です。
「牀を剥すに足を以てす」というのは、牀に横たわっている君子(上爻)を剥ぎ落とすのに、一番下位の、そして一番大切な足(初爻の位に当たります)を切り取って転覆させようとするのです。
いわゆる足元のグラついている危うさです。
牀の下から剥尽の手を加えようとしているので、初爻の時はまだ、その危害が直接身に及んでいるわけではないけれども「霜を履みて堅氷に至る」陰の勢いは次第に募って正道(貞)を滅ぼしていくものなので、凶であることは言うまでもなく、警戒速やかなることを要するわけです。
「貞を蔑す」の蔑は、滅と同じ意で、滅ぼす事です。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)