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<爻辞>
「戎を莽に伏せ、其の高陵に升る。三歳興らず」
<読み方>
つわものを くさむらに ふせ、そのこうりょうに のぼる。さんさいおこらず。
<爻辞の意味>
「兵を草むらに伏せさせ、隙をうかがっている。しかし相手は強く正しく、隙が無いので、三年経っても兵を起こすことができない」
この三爻は大変強気な爻であり、欲しいものをなんとか手に入れようと画策します。
しかし相手の方に正しさがあり、強さもあるため勝ち目はありません。
それでも無理に遂げようとするならば災いを招きます。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
この三爻からは、一陰である二爻を求めて互いに争う意味をもって爻辞をかけてあります。
そしてこの三爻は、二爻の比の位にいるので、二爻を獲ようとする気持ちが特に激しいのです。
しかし二爻にとっては、応じている君・夫は何と言っても五爻に他なりません。
三爻は、内卦離の極であり、陽位に陽で居るので激しい勢いを持った爻なので、自分の欲望を遂げるため、まずは競争相手である五爻を討とうとして兵を伏せておく。
それが「戎を莽に伏せ」です。
そして自分は敵の様子を見るために、高い綾に上ってうかがう。
「其の高陵に升る」がそれで、つまりは五爻の形勢を探るのです。
しかし五爻は二爻の応爻であり、剛健中正なので討つ機会がやってこない。
もちろん三爻が、徳においても、兵を起こす理由においても、五爻に適さないからなのですが、いつまでたっても伏せた兵を挙げることができないのです。
それが「三歳興らず」です。
正面から向かってもとても勝てないから伏兵しているのだが、長い間かかっても先方に隙がないので兵を挙げることができない。
このように不義な計略が、どうして実行されようか…。
とても行われるはずがない、と戒めているのです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)