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<爻辞>
「其の墉に乗るも、攻むる克わず。吉」
<読み方>
そのかきに のるも、せむる あたわず。きち。
<爻辞の意味>
「城の垣に上って様子をうかがうも、勝ち目がないことを知り、引き返したから吉となった」
この四爻は、能力がないわけではありませんが、比較的おとなしい爻です。
皆が欲しがるものを同じように自分も欲し、いったんは城の垣に上って形勢を見ます。
しかし自分が手に入れるのは正当ではない、手に入れようとしたところで無理だ……、
そんなことに気が付いて、大人しく引き下がります。
それによって、かえって吉を得られると言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
四爻も、前の三爻と同様に、二爻の陰を自分のものにしようとし野望を抱いている者です。
しかしながら、この四爻は二爻の応でも比でもありません。
そういう点で、うかがい望むだけで、分外な望みを放棄します。
三爻が、「戎を莽に伏せ」て計略するのに対し、四爻は、その望みが叶わないことを悟ってあきらめるのです。
「其の墉に乗る」のは何故かと言えば、ライバルの五爻を討とうとしてです。
しかし五爻の砦はなかなか固く、攻めることができない。
それが「攻むる克わず」です。
吉と言われていますが、この吉は良いとか立派とかいう直接的な意味での吉ではありません。
成就しないことを早く悟って、ゆえに深入りせず危機を免れるという吉なのです。
「其の墉」とは二爻を見るための墉ではなく、五爻を見るための墉とするべきでしょう。
二爻の正応である剛健中正の五爻を討とうとしているのですから、そもそも正義ではありません。
そういった根底にある違いから、勝つことができないのです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)