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<爻辞>
「訟を克くせず。歸りて逋る。其の邑人三百戸、眚いなし」
<読み方>
うったえをよくせず。かえりて のがる。その ゆうじん さんびゃっこ。わざわいなし。
<爻辞の意味>
「争いを起こしても、途中で勝てないと悟り自分の村に引き返す。そのお陰で、たくさんの村人も災いに巻き込まれずに済んだ」
天水訟の卦(か)は、訴えたり人と争ったりすることは、最後までやり通してはいけないという教えを主軸にしています。
そんな中、この二爻は、五爻を相手に争いを起こします。
しかし五爻は君位にあり、強く優れた爻です。
ですので二爻は戦いに勝てないことを途中で悟り、自分の村に引き返します。
最後まで戦わなかったことで、自分自身も村の人々も災いから免れることができたのです。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
「訟を克くせず」は「うったえをよくせず」と読みますが、「うったえに かたず」とも読みます。
「かたず」は、訟えて破れたということ、「よくせず」は、その寸前で機を察して退くという意味にとれます。
とにかくこれは、訟えに理のないことを悟って戻ることを言います。
「逋る(のがる)」は、物を背負い込んで逃げることです。
誰を訟えるのかと言えば、敵応している五爻です。
しかし五爻は乾の円満な卦の主爻で剛健中正、一点の非もないような人です。
それに対しこの二爻は、坎の険しさを持った爻で、不正だから利がない。
しかし中を得ているので早く見切りをつけて最後まで争わない。
負けたという事実を身に負って逋げるのです。
「其の邑人三百戸、眚いなし」は、訟えるほうの二爻が逋げて隠れるので、その同類に眚い(わざわい」がかからずに済むということです。
「眚い」とは「災い」とは違い、懲罰とか制裁とか人が作った「わざわい」を意味します。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)