地山謙(ちざんけん)本卦

独学者のための易経解説
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地山謙 本卦

ちざんけん ほんか



地山謙 本卦の解説

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━━━主爻
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<卦辞>
「謙は亨る。君子終り有り。吉」

<読み方> 
けんは とおる。くんし おわりあり。きち。



<説明の要点>

この「謙」とは、「謙遜」とか「謙譲」とかいった言葉からも分かりますように、「へりくだる」ことを意味しており、誰もが身に備えていなくてはならない人徳のひとつです。

「へりくだる」といっても、他にへつらって自らを卑しめることではありません。

ちょうど、この卦の内卦の艮が、高く上にそびえ立つ山でありながら、低い地の下に譲り下っているように、自分を誇示することなく、しかし内には充実した力(艮山の質)を備えているのです。

「天澤履」の「礼儀」が徳の基であるのに対し、この「謙」は、徳の幹だとされています。

一つ前の「火天大有」は、「大いに栄え富んでいる」意でした。

その富有は、ともすれば災いの因となる恐れがありますので、その大を永く有っていくためには「謙譲」をもってするしか道がありません。

だから、「火天大有」の次に、この「地山謙」が配されたのです。

「謙」とはへりくだることですが、優れた実質を持ちながら人の下に立ち、あるいは富んでいても驕らないということは、やがてその実力を発揮し、あるいは永くその富を保つことができます。

それは「徳の幹」として、人が守るべきことです。

しかし、なかなか実行は難しいものです。

初めはそのように心がけても、最後まで貫くのは容易でありません。

そして謙遜など、つまらないと思って途中でやめてしまうと「今まで謙遜していたのは、あれは猫をかぶっていたのだ」と、かえって悪く言われてしまいます。

それで謙の道は君子でなくては最後まで遂げることができません。

それを「君子終り有り」と言ったのです。

艮という卦は万物の終わるところであり、かつ始まるところとしますが、この艮の意を推して、ひとたび坤の下に下って謙徳を持するとなれば、それを最後まで貫いて初めて吉を得るというのです。

加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)



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