〈爻辞〉
「王仮りて家を有つ。恤うる勿れ。吉」
〈読み方〉
おう いたりて いえを たもつ。うれうるなかれ。きち。
<爻辞の意味>
「一家の主人が、家を治めることの至極に達する。心配することはない。吉」
「風火家人」の卦は「一家の人」について説かれた卦です。
そんな中この五爻は、一家の主人です。
しかも家を治めることの至極にある主人ですから、家族はみな感化され、まとまります。
このようであれば何も心配事はなく、吉だと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
「家を有つ」ということは、初爻にもありました。
家人の初めにあって、そのなすべきことを初爻では教えておりました。
しかし、この五爻の「家を有つ」は、君位ですので天下の家を有つのです。
それを「王仮りて家を有つ」と言っています。
「仮」は「至る」です。
有家(ゆうか)の至極であって、家がととのい天下が安らぐということをいつも祈り、これを王の恤いとします。
そして、この爻は互体の坎の上に脱しているので、天下安らかに吉を得るというのが、爻辞の内容です。
また、二爻との応の関係も重く見ます。
二爻は、中饋にある女の貞なるもので、家人の吉をもたらしています。
しかしそれは、二爻だけが柔順なのではなく、応爻のこの五爻が剛健中正なので、それに相感じて巽順の徳を発しているのです。
それは、あたかも相思相愛の男女の情が通うように、密接不離だからであると解しています。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)