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<爻辞>
「或いは之を益す。十朋の龜も違う克わず。永貞にして吉。王用て帝に享す。吉」
<読み方>
あるいは これを えきす。じゅっぽうの きも たがう あたわず。
えいていにして きち。おう もって みかどに きようす。きち。
<爻辞の意味>
「色々な者がこれを益す。高価な亀で占っても違わない。永く正しい道を守って吉。王はこの人を用いて神を祀る。吉」
「風雷益」とは「物を増す。益すること」について説かれた卦(か)です。
そんな中この二爻は、色々な人から益を与えられています。
そのことは高級な亀を使って占っても間違いがありません。
王からの信頼もあつく、このものを通じて神をお祀りするほどです。
ですので、これからもずっと正しい道を守っていけば吉だと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
益の初爻が、損の上爻に当たる一面があるとすれば、この二爻は損の五爻にあたるところの爻と言えるでしょう。
その爻辞も、損の五爻とほとんど同じで、損では元吉とあったのに対し、ここでは「永貞にして吉」となり、その上に「王用て帝に享す。吉」と付け加えられているだけの違いです。
「或いは之を益す。十朋の龜も違う克わず」は、損の時と同じ意味です。
この爻は内卦の中を得ていて、乏しい下を治めて行く地位に立っています。
「或いは之を益す」のは、益を行う爻である四爻とは応にも比にもなっていないので、四爻から自分は直接、益を受けなくても、その益するところが初爻から自分の所へも回って来る。
その利たるや、あえて疑うところはありません。
ただ、損の五爻には元吉とあったのに、ここでは「永貞にして吉」となっています。
それは治める者と従う者との立場の違いであって、五爻の君位に対するこの臣位を考えてみれば、すぐに納得するところです。
永貞とは、永くいつまでも正しいところを守って動かない事で、あたかも柔順中正のこの爻が、それに当たっているわけです。
こうして下を益し、民の苦しみを去って天下が治まるということは、もとより人の努力あってのことに違いありません。
そこには時の利ろしさも加わってはいるでしょうが、しかしその、人や時なるものの力を突き詰めて考えると、それだけでは片付きません。
何か、それ以上の大きな力の存在を考えないわけにはいかなくなります。
それをここでは「天帝」というもので表現しました。
すなわち王は天帝を祭祀して、その益利に感謝すると言うのです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)