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<爻辞>
「月望に幾し。馬匹亡う。咎なし」
<読み方>
つきぼうに ちかし。うまひつ うしなう。とがなし。
<爻辞の意味>
「満月に近い。馬が仲間を失う。咎められる過失はない」
「風沢中孚」とは「真心が信頼関係を生む道」について説かれた卦(か)です。
そんな中この四爻では「満月に近い」と言っています。
易経の中に度々この表現が出てきますが、いずれも同じです。
満月を「頂点」とすれば、満月に近いというのは「頂点の一歩手前にある」状態を言っています。
この四爻は、君主の位の一歩手前、現在の大臣の位に慎んでいます。
そして仲間内の情に流されることなく、公の務め(君主に仕える)に真心をもって取り組んでいます。
このようであれば咎められる過失はないのです。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
この中孚の四爻を変ずると、乾となり満月となるところから「月望にちかし」と言っているのでしょう。
「月望に幾し」の意味については、風天小畜上爻と、雷沢帰妹五爻にありましたので、すでに御存知の通りです。
そして、その望にちかいことを、小畜では「厲、凶」。
帰妹では「吉」とありましたが、この卦では「咎なし」です。
しかし、この四爻が咎なしを得るのは、位が正しくともあえて満月たることを望まないからでしょう。
すなわち四爻は、三爻と共に中孚の成卦の主で、しかも三爻とは違って位が正しい…。
それで、その孚に感じて信望が集まるが、外卦巽の主であり巽順を失いません。
私党のごときは絶ち、情に流されず、比爻の五爻に孚を致すので咎なきを得るということです。
「馬匹亡う」というのは、馬がその類と別れ離れることで、応位の初爻との交わりを絶つことを言っています。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)