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<爻辞>
「鼎、黄耳金鉉。貞に利ろし」
<読み方>
てい、こうじきんげん。ていに よろし。
<爻辞の意味>
「鼎に黄色の耳と金色の鉉がついている。正しい道を固く守っているから良い」
「火風鼎」とは「養い」について説かれた卦(か)です。
「養いの卦」と言えば「水風井」も同じでしたが、水風井は「水」をもって養い、 こちらの火風鼎は「火」をもって(食べ物を作り)養うという卦です。
そんな中この五爻では、鼎(三本脚の付いた鍋)に黄色い耳と金色の鉉(ツル)が付いていると言っています。
耳とは鼎の側面にある穴で、そこに取っ手の形をしたツルを差し込んで持ち運びします。
黄色とは中庸の徳(バランスが良い)を指していますから、
「黄色い耳」と言えば「謙虚さをもって人の言うことに耳を傾ける」ということになります。
そこへ金の鉉が差し込まれるわけですから、良い助言や支援がなされるという意味で、よろしいと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
この五爻は、主卦の主爻で、二~四が、鼎の胴であったのに対しこれは鼎の耳に当たります。
鼎は物を調理して聖賢を養うとともに、その善言を容れる耳目聡明を尊ぶものです。
それには自分を虚しくしなくてはならないので、柔中を得ているこの五爻は鼎の道に適っているわけです。
金鉉というのは上爻を指しますが、黄金の耳に金の鉉を持ったような立派な鼎だと言うのです。
賢を尚び、その言を用い抜擢するようにして、聖賢を養うとともに、己れ自らは鼎が煮えるように、善言善行を消化し、更に新しく蓄えていくというように永く鼎功を保つことを期するのです。
だから師伝もまた、至誠をもって君徳が高く挙がることに努めて行くのであり、それが黄耳の君に対する賢臣の金鉉です。
それは、鼎の耳は中虚ですが、それに鉉がかかれば、もう実となり陽位に陰でいる不正を、中をもって補い満たす様子です。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)