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<爻辞>
「未済征けば凶。大川を渉るに利ろし」
<読み方>
びせい いけば きょう。たいせんを わたるに よろし。
<爻辞の意味>
「いまだととのわず。進んで行けば凶。大きな川を渡るが良い」
「火水未済」とは「物事が未だととのわない、未だ成就しないこと」について説かれた卦(か)です。
ひとつ前の「水火既済」とちょうど反対の意味であり、対にして覚えるべき卦です。
そんな中この三爻では「進んで行けば凶」と言いながら、直後「川を渡るのが良い」と勧めています。
(川を渡るというのは、進んで行くことと同意です)
この意味は、今はことごとく物事がととのっていない時であり、このような時にむやみに進んで行くなら、失敗すること必至であり凶。
しかし、だからと言ってじっとしていれば、いつまでたっても今の「ととのわない」という境遇から抜け出すこともできません。
ですので、協力者を見つけたり、ぬかりなく準備するなどしてから進むのが良いと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
内卦の坎は未済中の未済です。
三爻はその極にあって、未済がまさに極まろうとしているところです。
それゆえ特に「未済」と言い「征けば凶」と言って、未だ車をもって渉ってはいけないことを示しています。
しかしそれとともに、坎の水上に離の舟を浮かべ、まさに渉るべき時に当たっていることも併せ察し「大川を渉るに利ろし」と告げているのです。
昔は川を渉るのに車を用いたので、渉ることの成る・成らないを主題とした既済と未済では、水を渉る事に巧みな狐と、水を渉る道具である車輪を象にしています。
しかし大川といえども離舟を浮かべれば「渉るに利ろし」いことになります。
「未済征けば凶」というのは機が未だわずかに熟さない「時」をもって言い「大川を渉るに利ろし」は、渉らずには終わらせない未済の「理」をもって言っているのです。
しかも、その「時」と「理」との合致する機会の間髪にあることを内外卦の境に当たるこの爻において、注目させたのだと理解するべきでしょう。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)