━━━○
━ ━
━━━
━ ━
━━━
━ ━
<爻辞>
「飲酒に孚有り。咎なし。其の首を濡せば、孚有るも是を失う」
<読み方>
いんしゅに まこと あり。とがなし。そのくびを うるおせば、まこと あるも これを うしなう。
<爻辞の意味>
「真心あってお酒を飲んでいる。咎められることはない。溺れるほどに飲むならば、真心があっても道を外れている」
「火水未済」とは「物事が未だととのわない、未だ成就しないこと」について説かれた卦(か)です。
ひとつ前の「水火既済」とちょうど反対の意味であり、対にして覚えるべき卦です。
そんな中この上爻は、最後の爻なので「今までととのっていなかったものが、すっかりととのった」というところです。
つまり「火水未済」が「水火既済」に転じられるところでもあります。
(この二つの卦は、循環しているとされています)
今、すっかり事が成就し、これと言ってすべきことがないため、ゆっくりお酒を楽しんでいても咎められることはありません。
しかし首を濡らすほど(酒におぼれる)飲むのなら、それはいくら真心で飲んでいたとしても正しくないと言っています。
成功を喜んだ後の、思わぬ失敗に警告する意味もあります。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
卦の終わりにあって、未済がまったく既済の成就を得たところです。
そこで、その喜びを祝って心からの祝宴を開き、その杯に酒が満ちるように、互いに孚を尽くし合うのなら、飲酒もまたあえて咎と言うには当たりません。
けれども、その既済を得た喜びに溺れ、酒中に自己を失ってしまうようなら、ちょうど狐が川を渡り終えたところで首を濡らしてしまうようなものです。
たとえそれが、いかに誠信から出た歓喜の極であろうとも、ようやく得た好ましい成果をことごとく失い、再び旧の未済に堕ちることとなります。
こんな事になるようならば、節度を知らないものだと言わなくてはなりません。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)