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<爻辞>
「霜を履みて堅氷に至る」
<読み方>
しもをふみて けんぴょうに いたる
<爻辞の意味>
「霜といえども、踏み固めていけば、やがては固い氷となってしまう」
霜は柔らかく、手で触れればすぐに溶かすことができます。
しかし、そんな霜であっても溶かさずに、逆に足で踏み固めていったなら固い氷となっていきます。
そうなったら、もう簡単に溶かすことはできません。
この坤為地の初爻とは、霜に喩えて、元凶は芽が吹いたばかりの時に、摘み取ってしまうことの大切さを教えています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
六爻を人体に当てた場合、初爻は足に当たりますので、この彖辞に「履む(ふむ)」という言葉が含まれています。
霜は、陰の凝ったものです。
元来、坤の卦は、陰の陰なるものですが、初爻は卦の初めですので、まだ力が弱い……それを消えやすい霜に喩えたのです。
しかしその霜も時が至れば、あるいはもっとその陰が増えていけば、ついには堅い氷(氷は本来は乾の象)となってしまう。
たとえば、臣がその君を殺したり、子がその父を殺したりといった、大逆無道な行いをするのも、ただその場の成り行きや出来ごころなどで起きるわけではない。
必ず原因となるところがあり、またそれは漸次に積み重ねられてきたものなのです。
陰邪姦悪というものは、その初めの芽生えは極めて微弱ですから、それを初めに注意して摘み取ってしまうのは、消えやすい霜を消すように簡単なこと。
しかし改めることなく過ごしていたなら、終いには堅い氷のようなシコリになってゆくものです。
だから、事の初めにおいては、来るべき結果を予知し、慎重にすべきだと教えています。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)