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〈爻辞〉
「丘園を賁る。束帛戔戔。吝なれども終に吉」
〈読み方〉
きゅうえんを かざる。そくはくせんせん。りんなれども ついに きち。
<爻辞の意味>
「農耕をする丘や田園を飾る。人への贈り物も質素なものとする。ケチだと非難を受けるが最終的には吉」
「山火賁」の卦(か)は「飾る道」について説かれた卦です。
そんな中この五爻は、君主の位です。
君主として世の中を見た時、民が飾ることに過ぎ倹約を忘れていることを憂います。
そこで農業という質実な務めを促すため、農耕に使う丘や田を整え(飾り)ます。
人に贈る物もあえて質素なものとします。
しかし、そのような事に徹すると「けち」と非難を受けることになりますが、そうして質素倹約に世を導いた結果、国全体の生活がかえって豊かになるので最終的には吉だと言えるのです。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
「丘園を賁る」というのは、農耕をする丘や農園をかざる……つまり開拓し、種をまき、植苗することを言っています。
自然の与えた土地に自然の与えた物を培い賁ってゆくことが「丘園を賁る」です。
次に「束帛戔戔」とありますが、束は謝礼であり、帛は神様へのお供え、戔戔は浅浅と大体同じで、乏しく少なめにすることの形容です。
それで、どういう意味なるかと言うと、賁の卦の君位にあるこの爻は、まず天より賜ったものを生育させることをもって天下の賁りとし、人間俗情をもって喜ぶものを賁りとしない。
そのためにケチと言われることがあろうとも、しかしこれが本当の王者の賁道なので、終いには吉にして喜びを得るというのです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)