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〈爻辞〉
「良馬遂う。艱貞に利ろし。日に輿衛を閑う。往く攸あるに利ろし」
〈読み方〉
りょうば おう。かんていに よろし。ひびに よえいを ならう。いくところ あるに よろし。
<爻辞の意味>
「良馬につけた車に乗って勢いよく進む。しかし安易な考えを起こしてはいけない。乗っている馬車を御すことと自分の身を守ることを日々練習すべきである。そのようであれば進んで行くのがよろしい」
「山天大畜」の卦(か)は、「大きいものが、とどめ、貯え、養う」という卦です。
そんな中この三爻は、道徳才能の修養ができあがった者なので(これまでは止められていましたが)ここから進んでいくべき者です。
しかし事を安易に考えてはいけません。
勢いよく進んでいくものの、そうしながら自分の進むべき道・身を守る術をよく工夫しながら進まなくてはいけないのです。
そうしして正しい道を守り進んでいくならば、進んでいって良いと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
三爻は、内卦の極で、三陽爻の中では一番上にあって、下の二爻に率先しています。
ですから大畜の時期もすでに久しく、その実力も相当なところに達しておりますが、まだもう少しといったところです。
動き進みたい心を無理に抑えて止まっている(艱貞)ことを要します。
乾の三爻の「終日乾乾、夕まで愓若」たらねばならないところですが、何を乾乾愓若するのかと言えば文武の道を磨くのです。
武のほうが「良馬遂う」であり、駿馬の駈けることを言います。
そして文のほうが「輿衛を閑う」です。
輿衛とは、乗物を警護することです。
「閑う」は「習う」と同じで、つまり毎日輿の警護を習うということになります。
この習う人は衛士で、武とともに文にも秀でた者でなくてはなりません。
「艱貞に利ろし」とは、貞しさを守り、その艱しみ(くるしみ)に耐えて動かないことです。
最後に「往く攸あるに利ろし」とは、今述べたような道筋を経て、初めて進んでもよろしいと言うのです。
それと言うのも、日頃の鍛錬も、君のため天下のために役立てることが目的であり、成卦主爻の上爻が乾の諸爻を畜止するのも天下に有能な材を作るためです。
その志が一致しているので、陽と陽で不応であっても、互いに協力することができるのだと言っています。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)