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<爻辞>
「震索索たり。視ること矍矍たり。往けば凶。震れることその躬に于いてせず、その隣に于いてすれば咎なし。婚媾言有り」
<読み方>
しん さくさくたり。みること かくかくたり。いけば きょう。
おそれること その みに おいてせず、その となりに おいてすれば とがなし。こんこう こと あり。
<爻辞の意味>
「雷に恐れ消沈している。目が泳いでいる。進んでいけば凶。
災いが自分ではなく隣に振りかかっている間に対処するなら咎められる過失はない。親しい者から恨まれる」
「震為雷」とは「勢いよく動く」ということについて、雷に喩えて説かれた卦(か)です。
雷が激しく鳴る( = 恐れ驚くような事が起こる)とき、どのように対処すればよいかを各爻、それぞれのケースで示しています。
そんな中この上爻は、雷に恐れおののき目が泳いでいる者です。
このような状態で進んでいけば、物事が上手くいくはずもありません。
しかし、雷が落ち実害が出ているのは周辺であり、まだ自分自身ではありません。
今のうちに良く対処するならば身を守ることだけはできるので、そうすべきです。
最後に「婚媾言有り」というのは、このように上爻は自分のことだけで精一杯なので、たとえ親しい間柄の人であっても助けてあげることができません。
そのため、恨み言を言われると言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
この上爻は、先ほどの三爻に匹敵する爻です。
この卦においては全て、初爻と四爻、二爻と五爻、三爻と上爻といったように応爻を対照して爻辞を見て行くと理解しやすいです。
この「震索索たり」は「震蘇蘇たり」の蘇蘇と同じく、勢いが衰えて物のまばらなことであり、またビクビクした様子も乱れたまま定まらないことです。
この爻は、震の極まる場所にあり、もう勢いが衰えて微かになり、求めて見ても定かでありません。はっきりしないのです。
そういう時は、進んで行って利ろしきを得ることはないので「往けば凶」です。
しかし、この爻は卦の終わりですから、すでに初爻の震と四爻の震に会ってるので、そういった驚事、乱れ、混雑などが直接身に迫って来るまでボンヤリとしていません。
隣に来た時に、もうそれに備えるという風に、経験を積んで用心深く常に警戒しているから咎なきを得られるわけです。
「往けば凶」という状態にありながら、なお咎なきを得るというのはそうした驚きに直接面する前に、近くまで来た時にもう用心するというように警戒が厳重であるからです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)