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〈爻辞〉
「无妄の疾い、薬なくして喜びあり」
〈読み方〉
むもうの やまい、くすりなくして よろこびあり。
<爻辞の意味>
「病になったが、薬を用いず自然に治った。喜びがある」
「天雷无妄」の卦(か)は「無私無欲・至誠真実」について説かれた卦です。
そんな中この五爻には「病」とありますが、あくまでも「无妄の病」ですので、何か複雑な難しい病気とは違います。
たとえば「妊娠中のつわり」などのように、自然な体調の変化の中にあって病気のように見える一時的な症状を言っています。
そのような症状(病)には薬を用いるとかえって害となり、自然治癒が一番良いと言っています。
物事もこれと同じで、放っておいたほうがかえって良くなるといった類のことが、少なからずあるのです。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
五爻は主卦の主爻です。
剛中で、无妄の道に叶う爻です。
そして无妄の福の面を得るのですが、その福の表れ方はどんなかと言いますと、天命祐けずの无妄の時ですから、もちろん僥倖(ぎょうこう=思いもかけない身分不相応な幸せ)などではありません。
无妄の災いを得て、しかも无妄にして解消するというような、そういう福いです。
それを病気になって手当てをせずに治ることを例にして辞をかけてあります。
どんなに用心をしていても、有妄の不摂生などしなくても、病気にかかることがあるのは生身の体には仕方のない、无妄の災いのひとつです。
そうして患った病気は、強いて色々な薬や療法を用いるのは妄になる。
无妄の病気は、无妄で治すのが一番良いので「薬なくして」とあるのです。
薬とは作為です。方法を講ずることです。
妊娠の時のつわりのようなもの…そのようなものは求めて(妄)得た不快ではないので、自然に任せて快癒するものです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)