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<爻辞>
「遯を係ぐ。疾ありて厲うし。臣妾を畜えば吉」
<読み方>
とんを つなぐ。やまい ありて あやうし。しんしょうを やしなえば きち。
<爻辞の意味>
「繋がれていて逃げることができない。悩み苦しむ。下男・下女を扱うように、付かず離れず扱うことができれば吉」
「天山遯」とは「良からぬものから退き逃げる」ことについて説かれた卦(か)です。
そんな中この三爻は、逃げなくてはならないと分かっていても、何かに心がとらわれているため思い切って逃げることができない者です。
逃げなくてはならないが、後ろ髪を引かれて、去るに去れないので、まるで病のように悩み苦しみます。
そんな時は、後ろ髪引かれるものを下男や下女のように思い、執着心をやわらげれば吉だと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
「遯を係ぐ」というのは二爻の「執うる(とらうる)」と同じ取り方です。
逃れようとするのを内卦艮の手に、互卦巽の縄をもって止められています。
二爻はそこから脱しようとしなかったのに、三爻は逃れることを欲します。
それは三爻が不中であり柔でもないからです。
しかし、陽爻である三爻は、艮の一体である下の二陰が足手まといとなり、外卦三陽のように遠くへ逃げることができません。
下の二陰がまるで親兄弟のように、断ち難いのです。
そのことを病でもあって自由にならない体であるように形容しています。
艮は「体」です。その「体」が陰をもって陽を消していくという遯の内卦にあるのですから、ここに疾病の象意が見られます。
「臣妾を畜えば吉」とは、その二陰を重用し親しむようなことをせず軽く扱うことができたなら、それに煩わされることもなく吉を得られるということです。
臣妾とは、臣下や妻妾というより、奴婢(ぬひ)のようなものを思い浮かべるべきでしょう。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)