━ ━
━ ━
━ ━
━━━
━ ━○
━━━
〈爻辞〉
「明夷。左股を夷る。用て拯う。馬壮なれば吉」
〈読み方〉
めいい。さこを やぶる。もって すくう。うま そうなれば きち。
<爻辞の意味>
「明らかなものが傷つけられる時代。左の股を傷つけられる。この者が救われるには、強い馬があれば吉」
「地火明夷(ちかめいい)」の卦(か)は、「明らかなる者が傷つけられる時代」について説かれた卦です。
そのような時代の中、この二爻は、左の太ももを傷つけられたと言っています。
傷つけられたと言っても、太ももですから命に別状はなく、さらに右ではなく左の太ももなので、支障もまだ小さいわけです。
しかし、この者が救われるためには自力では困難であり、強い馬が必要だと言っています。
「吉」とありますが、「なんとか助かる」という程度の意味合いです。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
これもまた、逃れて大難を免れなくてはならない爻ですが「明夷。左股を夷る」とあり、これはもう傷害を受けいます。
それだけ初爻よりも外卦の坤暗に接近してきたことを示しています。
しかし、それでもまだ、救えない傷害ではなく、脱する道があるところです。
夷れた(やぶれた)足を用いずに乗物によって逃れるのです。
それが「馬壮なれば吉」です。
明夷の時に内卦離明の主として柔順中正なるこの爻は、いわば君の手足です。
そのために返って難を受け、傷害を受けるけれども、あえて逆らわず、時艱に従い、時を得てその苦境を脱して吉に至るのです。
初爻は内卦離を鳥に象り、下位にあるところから翼に当てて考えましたが、二爻はその位置と、陰爻であるところから左の股に象っています。
変じて乾を「馬となし」「健となす」ので、時を得てその傷害の地を脱することができるのです。
この二爻は、周の文王の大難に該当します。
「左股を夷る」のは、文王が羑里(ゆうり)に囚われた悩みです。
「馬壮なる」は、そこを脱して、ついに志をつなげた吉を示しています。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)