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<爻辞>
「田に禽あり。執言に利ろし。咎なし。長子師を帥ゆ。弟子尸を輿う。貞しけれども凶」
<読み方>
かりに きんあり。しつげんに よろし。とがなし。ちょうし しを ひきゆ。ていし しかばねをになう。ただしけれども きょう。
<爻辞の意味>
「領地を荒らしに来るものがいるので、国の王様が軍を起こすよう命ずる。それは正しいことである。しかし、その際には優れた人物を大将に任じなくてはいけない。そうでなければ戦死者をたくさん出すこととなり、いくら正しい戦と言っても凶となる」
この五爻は、国の王の立場で書かれています。
戦を始めるには、それなりの理由がなくてはなりませんが、ここには「領地を荒らしに来る者がいる」という正しい理由があるため、咎められる戦ではありません。
そしてもう一つ大切なのは、誰を大将とするかです。
選任を間違えると、正しい戦であっても死者と沢山出すこととなり、凶を招くと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
「田(かり)」というのは、穀物を作る田のことです。
坤を田とし、田に作ってある物を荒らす鳥や鼠などが来る場合、
それらをやっつけるべきです。
これを大きく広げていくと、領地荒らし、国土侵略といったこととな
り、そのような者は、やっつけなくてはならないのです。
この五爻は君位にあるのだから、征伐の軍を起こすよう命令を
下す。
それが「執言に利ろし」です。
これは自ら陣頭に立つのではなく、言を下して指揮するのです。
次に「長子師を帥ゆ」の長子とは二爻のことです。
これは三軍の兵を統率して王命を遂げる者で、長子というのは
老練な者、器量の大きな人ということです。
二爻は丈人であり、二三四爻に震を持っている…それで長子と
します。
「弟子尸を輿う」とは、三爻や四爻にやらせたら、貞正な戦であっ
ても敗れてくるというわけです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)