ちてんたい3

独学者のための易経解説
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地天泰 三爻

ちてんたい さんこう
まずは、やさしい解説から

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<爻辞>
「平にして陂かざる无く、往きて復らざる无し。艱貞なれば咎无し。恤うる勿れ、其れ孚ならば食に于て福あり」

<読み方>
たいらにして かたむかざる なく、いきて かえらざるなし。かんていなれば とがなし。うれうるなかれ、それ まことならば しょくにおいて ふくあり。

<爻辞の意味>
「平らなものは、やがて傾く。向こうへ行った人は、必ずこちらへ戻ってくる。正しい道を固く守っていれば、咎めを受けるような過失はない。むやみに心配しなくて良い。まことの心をいっぱいにしていれば幸福を受けることになる」

「地天泰(ちてんたい)」の卦(か)は、天下泰平について説いた卦です。

そんな中この三爻は、天下泰平も頂点に達しようというところです。

このような時には油断が生じるもの…。

それを戒めているのです。

平らなものは皆、やがて傾くように、泰平の世も必ず乱れが生じてきます。

そのような気運とは逆らえるものではないので、日々、正しい道を固く守っていくのが良いのです。

そうすれば咎められるべき過失は免れることができます。

そのように正しさを保っているならば、逆に心配し過ぎることもありません。

誠実さを胸にいっぱいにして対処していくならば、たとえ衰退の気運にあったとしても幸福を得られるでしょう、と言っています。



「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。

また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。





加藤大岳述 地天泰 三爻

<説明の要点>

「陂く」とは、傾くです。

この三爻は位置から言って、泰から少々「否」に傾きかけたところで、「栄枯は移る」の世の習いを如実に示した爻です。

平らなものはすべて傾くのが常道ですし、往ったものはいつか帰ってくるのが当然です。

昔から「日中すれば傾く」とか「月盈つれば虧く(つきみつればかく)」と言うように、昼夜にしても四季にしても、また人間界においてもそういうことは常に見られることで、否応なしに巡り来るのです。

「平にして陂かざる无く」は泰平が否塞になることを、「往きて復らざる无し」は、泰が「小往き大来たる」であるように、全てはまた「小復り大往く」の否になるのを言ったものです。

天の時はこのように巡ってくることは解っているのだから、心を砕き力を致し、正しいところを固く守っていかなくてはならない。

これが艱貞で、そのようにすれば咎がないのです。

このように否運に向かいつつあるときに、苦しみの中で貞を守って
いたなら否運の中でも福を見出すことができる。その事を言ったのが、「食に于て福あり」です。

「食」というのは、日蝕とか月蝕とかの「蝕」のことです。

だから「欠けた中にも」「衰えの中にも」といった意味となります。

三爻を変ずると兌(欠ける)となり、円満なものが欠けた形となります。

「月盈つれば虧く」ということは、すべてに当てはまることであり、天地の理であると言っています。

加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)



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