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<爻辞>
「帝乙妹を帰がしむ。其の君の袂は、其の娣の袂の良きに如かず。月望に幾し。吉」
<読み方>
ていおつ まいを とつがしむ。その きみの べいは、その ていの べいの よきに しかず。つきぼうに ちかし。きち。
<爻辞の意味>
「赤文字」
「君主が妹を嫁がせる。その妹の衣服は、妾の物より劣っている。満月に近い。吉」
「雷沢帰妹」とは「正当ではない」ことについて説かれた卦(か)です。
正当ではないということを、女がお嫁に行くことを例にして、各爻で説かれています。
そんな中この五爻は、君主が自分の妹を臣下に嫁がせます。
その妹の衣服は、妾として伴っていく女の衣服より質素であると言っています。
嫁ぐ妹の賢明さは盛大であり、道徳を重んじ、容貌衣服を飾ることをしないのです。
この夫人は君主の妹だからと言って、嫁ぎ先で驕り高ぶることもなく控え目にして夫を立てます。
そのことを「満月に近い(が、満月にはならないという意)。吉」と言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
「帝乙妹を帰がしむ」については、泰の五爻のところで説明しました。
王が、その妹を諸侯に嫁がせるのです。
「其の君」とあるのは、やはりその妹を指すのであって、諸侯の正妻を小君と呼びます。
帰妹は、自らを先立たせず迎えられて応ずることを礼とします。
しかし、王の妹ともなると降嫁するわけですから、これは嫁ぎ先を選んで赴かせるのが当然で、この卦において吉を得る爻となっています。
また、この爻は柔中であり、妻の順徳を尊び、容姿や服飾によって夫の寵愛を求めるような事はしません。
また上より下へ嫁いでも、驕り高ぶるような事もなく、よく吉を得られます。
そのことを「其の君の袂は、其の娣の袂の良きに如かず。月望に幾し。吉」と言っています。
袂というのは、「たもと」であって服飾を示します。
その袂が、妾の華美に及ばないというのは、粗末な衣装をまとっているというのではなく、そんな飾りなどより、女としての徳を尊んでいるという意味です。
また、望というのは満月のことで「月望に幾し」ならば満月の手前であって、すなわち謙譲をもって控えるところがあるわけで、妻の道に適って吉を得る所以です。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)