すいちひ初

独学者のための易経解説
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水地比 初爻

すいちひ しょこう
まずは、やさしい解説から

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<爻辞>
「孚有りて之れに比す。咎なし。孚有りて缶に盈つれば、終に来たりて他の吉あり」

<読み方>
まことありて これに ひす。とがなし。まことありて ふに みつれば ついに きたりて たのきちあり。

<爻辞の意味>
「まことの心で相手に親しむのだから問題はない。粗末な器であっても、そこにまことの心が一杯であるならば、思いがけない吉を得られる」

「水地比」の卦(か)は、親しむ・助け合う道を説いた卦です。

そんな中、この初爻は、すんなり助けてもらえるような立場ではないですが、それでも誠実さをいっぱいにして進んでいくならば、思いがけない幸運を手にできると言っています。



「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。

また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。





加藤大岳述 水地比 初爻

<説明の要点>

この比の卦における「比」とは、隣り合う陰陽が比するような意味ではなく、成卦主爻である五爻に、他の衆陰が親しみを求め、すがって救われ、またその仕事を助けるということを主にしていますので、全爻の爻辞はこの意味合いから、かけられています。

初爻は五爻と応爻でも比爻でもありません。

ですから初爻は、比の時なのに、五爻へ参じて仕えることもできず、五爻から引き立てられることもない。

このような場合、初爻はどうしたらよいかと言えば、本卦に「筮に原ね、元永貞にして咎なし」とあるように真心を込めて筮を執る時のように、認めてくれるか否かは別として、誠を尽くせば良いのです。

初爻は、交わりの初めですから、率先して求めるのが良いのです。

孚(まこと)をもって交際を求めたなら、誠意というものは遠く離れていても必ず通じます。

初爻は人で言えば非常に若く、その位も卑しい。

そして五爻と応でも比でもないのだから、本来は咎があるべきだが、孚をもって交わりを求めるなら咎なきを得る。

その孚とは、どんな孚かと言えば、上っ面なものではなく、缶に盈つるような胸一杯の孚でなくてはならない。

「缶」という酒を納れる素朴な土器をここに当てはめて表現されているのは、飾りや模様のない素焼きの壺=孚の充実、また、地(坤)を土とし、土で作った器が坎水をたたえているということからです。

「他の吉あり」とは、予想外の幸福のことで、この五爻と応でも比でもない初爻が福を得ることを言っています。

加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)



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