地山謙(ちざんけん) 初爻
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<爻辞>
「謙謙。君子用て大川を渉る。吉」
<読み方>
けんけん。くんし もちいて たいせんを わたる。きち。
<爻辞の意味>
「謙遜の上に謙遜を重ねる。そのようであれば大きなことを成し遂げられて吉」
「地山謙」とは、謙遜するという意味の卦(か)です。
そんな中この初爻は、一番低いところにいるため、いくら自分が優れていても謙遜の上に謙遜を重ね、腰を低くしています。
謙遜と言っても見せかけのものではなく、心の底から自分を偉いとは思わないのです。
そのような姿勢であるから人望が集まり、大きな仕事ができると言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
ひとつ前の「火天大有」は「大いに有つ」という意味の卦でしたか
ら、位が高く尊くなるほど有つものも大きくなるので、爻が上に進
むほど大体、吉の意が強くなっていました。
しかし、この卦は「へりくだる」という意味なので、爻が低ければ低
いほど、余計にへりくだっていると見ます。
爻が高くなると、謙の意味が次第に薄れていきますので、この卦
では、大有とは反対に、爻位が下にあるほど吉の意を強く見ます。
大抵の卦の場合、初爻を力弱く時を得ていないものとして見ます
ので、何か条件付きでなければ吉とはならないことが多いです。
しかし、地山謙の場合は爻位が卑しければ卑しいほど謙遜してい
るとなりますので、条件もなしに吉と言っております。
謙は終りを遂げることが難しいのだが、これはまだ卦の初めで心
に緩みがない。
自分を卑しいものとして才能を誇らず、自ら徳を養い守る謙君子
なので、その慎ましい態度なら、大川をわたるような大事をなして
も吉を得ることが出来るというのです。
初爻を足とし、二爻から四爻に坎があるので、大川を渉るという象
を見ているのです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)