易経の道具

独学者のための易経解説
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易経入門 5
「爻(こう)」について

易経では「爻(こう)」というものを用いて占いをします。

これまでのページ「実際に占ってみましょう」や「陰陽の印と八卦について」のぺージでも少しだけ触れていますが、
このページでは、易経の「爻(こう)」というものについて、もう少し詳しく説明してみます。

たとえば「地天泰(ちてんたい)」という卦を例にしてみます。

陰陽の印で地天泰を書くと、下ようになりますね。
(これが解らない方は「陰陽の印と八卦について」のぺージに戻ってください)

━  ━
━  ━
━  ━
━━━
━━━
━━━

これはよく見ると、陰と陽の印が、六段の層になっています。


その「六段の層」には、それぞれ下のように「位」が定められているのです。

━  ━ 上爻(じょうこう)
━  ━ 五爻(ごこう)
━  ━ 四爻(よんこう)
━━━ 三爻(さんこう)
━━━ 二爻(にこう)
━━━ 初爻(しょこう)



そしてさらに、初爻~三爻までの塊を内卦(ないか)とし、四爻~上爻までの塊を外卦(がいか)とします。

易経の内卦と外卦



「爻」には色々と意味があります。

もう少し「爻(こう)」について補足しますと、次のようになります。

  • 時間の流れは、初爻 → 上爻へと流れています。
  • それに伴い、初爻をその卦の入り口(始まり)とし、上爻を出口(終わり)とします。
  • 内卦(ないか)を近いところとし、外卦(がいか)を遠いところとします。
  • 内卦を自分とし、外卦を相手とすることもあります。
  • 内卦を内側とし、外卦を外側とすることもあります。
  • 内卦を下方とし、外卦を上方とすることもあります。
  • 初爻の位が一番 低く卑しい位であり、上爻が一番高く尊い位です。
  • 権力の類については、そのピークは五爻に当たります。
    ですので五爻は「君位」とされ、会社で言えば社長ですし、一家で言えばお父さんです。
    四爻は、社長をすぐそばで支える専務のような立場であり、初爻となれば平社員です。
    上爻はと言えば、会長に当たります。

易経には「卑しい位」などという言葉がよく出てくるのですが、
それは身分が低いとか年が若いとか、未熟であるといったこと等を総じて言っているようなところがあり、
一般的な「卑しい」という言葉のイメージをそのまま短絡的に当てはめてしまうと、占断を誤ってしまう危険がありますので注意しましょう。


「陰位」と「陽位」、「正」と「不正」

それぞれの爻には、下のように「陰の位」と「陽の位」が定められています。

陰位 ━ ━ 上爻
陽位 ━ ━ 五爻
陰位 ━ ━ 四爻
陽位 ━━━ 三爻
陰位 ━━━ 二爻
陽位 ━━━ 初爻

見ると解りますが、初爻・三爻・五爻(奇数の爻)は、陽の位…すなわち「陽位(ようい)」です。

そして、二爻・四爻・上爻(偶数の爻)は、陰の位…すなわち「陰位(いんい)」です。

そして、もっとよく見てみると、何かに気づくかもしれません。

特に、二爻と五爻に注目してください。

これは「地天泰」の卦(か)ですが、二爻は陰位なのに「陽」━━━ が入り、
五爻は逆に、陽位なのに「陰」━ ━ が入っていますね。

このような、ちぐはぐなことは理想的ではありません。

このように、ちぐはぐになってしまっている爻を「不正」と言います。
正しくないのです。

陽位には「陽」が、陰位には「陰」が入ることが理想であり、そのように正しい位にいる爻のことを「正」と言います。

そして「正」であれば、基本的に「志が正しい」
「不正」であれば「志が正しくない」と解釈します。



「中を得る」とは何か?

易経の解説の中には「中(ちゅう)を得る」とか「中を得ていない」などという表現が頻繁に出てきます。

これは何を意味しているのでしょうか?

もう一度、内卦と外卦を示した図を見てみてください。

易経の内卦と外卦

「内卦」の真ん中の爻は「二爻」ですね。

そして「外卦」の真ん中は「五爻」です。

つまり「中を得ている」というのは、それら真ん中にある二爻と五爻のことを言っているのです。

それ以外の爻はすべて、中を得ていません。

「中を得ている爻」(つまり二爻と五爻)というのは、易経において「バランスが良い」という見方をされます。

手前過ぎず、行き過ぎてもいない位置…、真ん中にあるからです。

易経では「中を得ていること」を最も重んじるため、六十四卦の中でも、二爻と五爻というのは良い意味を持っていることが多いのです。

一番よくないのは、中を得ておらず、しかも不正(陰位なのに陽など)…、このような爻には大体、良くない意味がつけられています。




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