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<爻辞>
「王用いて出て征す。嘉きあり。首を折る。獲るは其の醜に匪ず。咎なし」
<読み方>
おう もちいて いでてせいす。よきあり。かしらを おる。うるは その たぐいに あらず。とがなし。
<爻辞の意味>
「王からの命で、王に服従しない者を征伐する。功績をあげる。賊の頭を討ち滅ぼすが、その手下の者たちは許してやる。咎めを受けるようなことはない」
「離為火」は「付く・明らか・太陽・火」を意味する卦(か)です。
そんな中この上爻は「火の激しさ」と「明らかさ」をもって説いています。
王に服従しない乱賊どもを焼き払うといった様子です。
火の激しく燃えるがごとく攻めるので賊の頭の首を獲り、功績をあげることができます。
しかしこれは、殺戮が目的ではなく、国を治めるための征伐ですから、その手下の者たちは皆殺しにせず、逃がしてあげます。
ここに離為火の「(知恵の)明らかさ」が反映されています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
離卦の極まるところです。
この場所を火にあてて言えば、その力の最も激しいところです。
坎の極みにおいては、坎の刑罰の極刑を用いました。
これも険の時用であったように、火の激しさもまた、時によっては用いる道
があります。
悪しきを焼き払うのも、またその一つです。
坎の場合は、坎を刑とし上変の巽を縄とし、繋ぐに徽纏を用いたのです
が、この離の場合は、離を甲冑とし、上変の震を侵伐とし、ここでは「王用
いて出て征す」のです。
王とは五爻です。
五爻が、この上爻(公)を用いて天下の害を除くため出征させるのです。
そして、上爻は剛明でもって軍功を建て、王より嘉賞にあづかります。
しかし殺すのは敵の大将だけで、雑兵などを捕えたりはしない。
(醜=衆=陰の小人)
そもそもの目的は、人を殺すことではなく、離明をもって人の履むところ
を明らかにし、天下を正しく治めるところにあるからです。
恩威並び行ってこそ、初めて嘉賞に値し、かつ咎なきを得るということです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)