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〈爻辞〉
「頤いに拂る。貞くすれば凶。十年用うる勿れ。利ろしき攸なし」
〈読み方〉
やしないに もとる。かたくすれば きょう。 じゅうねん もちうるなかれ。よろしき ところなし。
<爻辞の意味>
「養いの道に背いている。改めなければ凶。このような者は永久に用いるべきでない。良いところがない」
「山雷頤」の卦(か)は「養いの道」について説かれた卦です。
そんな中この三爻は、軽挙妄動し、こびへつらって養いを過分に受けようとする者です。
あるいは当てにする相手を間違えているかもしれません。
いずれにしても、養いを受けなくてはならない弱い者であっても「正しい養われ方」というものがあるのです。
考え方を改めなくてはいけません。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
この爻も陰爻なので、口実を他の爻へ求めなくてはなりませんが、二爻では「経に拂る」とあったのに対し、この三爻には「頤いに拂る」とあります。
この「経」と「頤」との文字の相違には、どういう意味があるかと言うと同じく頤養の道に背いているにしても「頤いに拂る」という三爻のほうが逸脱の凶意が強いです。
二爻の方は、頤養の状態ではないという程度ですが「頤いに拂る」となると、もう完全に頤養の道に背いています。
本来、頤の頤養の資は君位の五爻から受けるのが正道ですが、この三爻は君位の五爻と陰同士であるばかりでなく、応でも比でもありません。
一方、上爻とは陰陽で応じています。
だから、どうしても君位の五爻に心が向かず、上爻に向いて頤陽の資を得ます。
まことに人情の自然とは言え、道に背く行為です。
まだこれが、ひもじさからの仮初めの背徳であったなら、また正道に立ち返ることもできるでしょう。
それで「貞くすれば凶」と戒めておりますが、三爻のような立場にあっては、それも困難です。
そこで、このように食のために道をないがしろにする者は、いつになっても用いることができない。
しかも「利ろしき攸なし」と続きます。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)