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<爻辞>
「震來たるに厲うし。億いに貝を喪い、九陵に躋る。逐うこと勿れ。七日にして得」
<読み方>
しん きたるに あやうし。おおいに ばいを うしない、きゅうりょうに のぼる。おうこと なかれ。ひちじつにして う。
<爻辞の意味>
「雷が来て危うい。慮り、財貨を捨てて高い岡へのぼる。追うことはない。七日が過ぎれば、その財貨は戻ってくる」
「震為雷」とは「勢いよく動く」ということについて、雷に喩えて説かれた卦(か)です。
雷が激しく鳴る( = 恐れ驚くような事が起こる)とき、どのように対処すればよいかを各爻、それぞれのケースで示しています。
そんな中この二爻は、雷(事件など)のもっとも近くにいる者で、大変危険です。
そのことを良く考慮して、自分の財貨を捨てて安全なところへ逃げます。
そして、失った財貨を追ってはいけないと言っています。
それはしばらくの後、自然と自分の手元に戻ってくるからです。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
この二爻は、激しく震い動いて人を驚かせる成卦主爻・初爻の上に乗っています。
勢いの激しいものの上に乗っている陰爻ですから、その危うさを見て「震來たるに厲うし」と言っているのです。
次の「億」という字は、諸説ありますが「おおいに」と読めば良いでしょう。
地震などの災害にあって多くの財を喪いながらも、その財宝への執着を捨て、遠く離れた遠い所……九陵へ逃れるのです。
九陵とは、街中の高い所というのではなく、離れた郊外の高い丘が連なっている辺鄙なところのことです。
それが「億いに貝を喪い、九陵に躋る」です。
そうして九陵に躋ってどうするかというと、喪った財宝などは思い諦めるのが良い。
心惹かれていつまでも煩っていなくても、命さえあれば、この卦が坤の純陰の下に陽を生じて震を成し、春が巡るとするように、財物のごときは自ずと戻って来る日があるのです。
そのことを「逐うこと勿れ。七日にして得」としています。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)