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<爻辞>
「君子豹変す。小人面を革む。征けば凶。貞に居れば吉」
<読み方>
くんし ひょうへんす。しょうじん つらを あらたむ。いけば きょう。ていに おれば きち。
<爻辞の意味>
「君子が皆、立派で道徳ある者に変化した。一般の人々も向きを改める。行けば凶。正しい道を堅く守っていれば吉」
「沢火革」とは「改革・革命」について説かれた卦(か)です。
そんな中この上爻は、改革が行われた後、その影響により身分の高い人々が皆、道徳者になったと言っています。
身分の高くない一般の人々も、改革に従って向かう方向を変えました。
これらは改革が成功した証ですが、しかしここへ来て更なる改革を欲張るならば凶だと言っています。
これでいったん満足し、この正しい状態を堅く守っていこうとするなら吉だといっています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
五爻の大人に対し、この上爻には君子とあります。
それは剛健中正をもって君位にある五爻と、柔正をもって君の顧問ともいうべき位に居るこの爻との相違を見たものと言えるでしょう。
また、虎変に対する豹変にも同様な相違があります。
虎の毛の模様は大きくはっきりした鮮やかさがあり、それが炳然たる変わり方をするのに対し、豹の毛の模様はそれよりも細やかに濃い鮮やかさで変わります。
すなわち虎変は君たる者の革であり、豹変は庶政の道に当たる師伝・宰相・諸侯などの改革です。
ちなみに「君子豹変す」という言葉を「裏切り」といった意味に使っているのは間違いです。
卦の終わりにあって革道の成就するところに、この爻は当たっていますが、君子は豹の毛の模様が一変するように改革し、細やかな制度までもを新しくして維新の大仕事を翼賛します。
しかし小人はと言えば、身自ら変革するというわけにはいかず、大勢に従ってその向かうところを改め、いわば他を見て向きを変える…顔の方向を変えるのであって、それを「小人面を革む」と言っています。
そして自発的ではないにしても、君より示された方向に向きを変えて進んで行くのであって、小人の革はそれで良いのです。このようにして大きな変革が達成されたわけです。
そして、このような変革が成就された後にはどうすれば一番良いかを教えたのが「征けば凶。貞に居れば吉」です。
「征く」とは、さらに進むことで、面従している小人を心服させようとして強い圧力を加えたり、あるいは変革の上にまた新たな変革を試みたりする事ですが、それをあえて行う時は凶だと戒めています。
成就された変革を、今度は固く守っていくのでなければ、民は変革に疲れ革を信じなくなり、せっかく成就した大業もその意義を失ってしまうからです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)