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<爻辞>
「丈夫に係わりて、小子を失う。隨いて求むるあれば得。貞に居るに利ろし」
<読み方>
じょうふに かかわりて、しょうしを うしなう。したがいて もとむるあれば う。ていに おるに よろし。
<爻辞の意味>
「立派な人に関わって、下の者を失う。立派な人に従って利益を求めるなら、それを得ることができる。正しい道を固く守るのが良い」
「沢雷随」の卦(か)は、「従うこと」について説かれた卦です。
そんな中この三爻は、立派な人に従うことによって、下の者を失うことになります。
立派な人に従うわけですから、利益を得られるようなことも伴ってきます。
しかしこの三爻の場合、利益重視の面があり、その選択は貴ぶに足らないとされています。
※ こちらは明治の漢文学者 公田連太郎先生の説に基づいています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
二爻の場合と同じように、丈夫=五爻、小子=初爻です。
しかしこの三爻は、二爻とは反対に丈夫に係わって、小子を失うのです。
この卦は隨の時で、陰爻はみな陽爻に従う意味を見ているのですが、成卦主の初爻も定卦主の五爻も、この爻とは応比になっていません。
そこで従うことを自ら進み求めて、その相手を得なくてはなりませんが、いずれか一方に従う相手を定めるとすれば五爻の君に従うのが当然です。
そのため下にいる初爻を失うことになるのです。
※この「丈夫」を四爻とする説もありますが、加藤大岳先生は、五爻とするほうが自然だと本の中で述べられています。
まとめますと、五爻の丈夫に心を寄せて初爻の小子を見捨てるといったところです。
それは自然の成り行きでそうなるのではなく、初も五爻も共に応比でないから、いつまでも相手から手を差し伸べてはくれません。
そこでこちらから一方の爻を求めていくのですから隋の徳を持つ五爻に従うべきなのです。
こちらから進んで求めて行って、初めて丈夫に従うことができるという条件付きとなります。
この正しい方に従うべきということを「貞に居るに利ろし」と言っています。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)