てんぷうこう初

独学者のための易経解説
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天風姤 初爻

てんぷうこう しょこう
まずは、やさしい解説から

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<爻辞>
「金柅に繋ぐ。貞吉。往く攸有れば、凶を見る。贏豕孚に蹢躅たり」

<読み方>
きんじに つなぐ。ていきつ。いくところ あれば、きょうを みる。
るいし まことに てきしょくたり。

<爻辞の意味>
「金属の杙(くい)につなぐ。おとなしくしているなら吉。進んでいくなら凶。やせた豕はまことに動き回る」

「天風姤」とは「(良からぬ者などに)思いがけず遇う」ことについて説かれた卦(か)です。

そんな中この初爻は、「良からぬ者」の張本人です。

この良からぬものが力を付けていかないよう頑丈な杭につないでおくのです。

それにより、今後もじっとしているなら吉。

もし力をつけて進んでいくなら凶と言っています。

今は痩せて力の弱い豕であっても、油断ならない性質を持っているのです。


「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。

また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。


加藤大岳述 天風姤 初爻

<説明の要点>

この初爻は、成卦主爻です。初爻が主であり、二爻から上爻までの五陽爻が、賓客となります。

それで、二~上爻までの各爻はみな、成卦主爻の初爻を対照して辞をかけてあります。

この初爻は、夬で決断された上爻の一陰が、ここに戻って来て、下に位を得たと見ますので、これが伸びて行けば坤為地初爻の辞「霜を履みて堅氷に至る」のような堅さになって行くので、あくまでも進ませないようにすべきだというのが「金に繋ぐ。貞吉」です。

金柅の柅とは、車を止める棒のことだと、普通は解釈します。

詳しくは分かりませんが、おそらく輪のところへ差し込んで進むことを止めるのでしょう。

これが弱ければ折れてしまい、止めることができないので、金のような堅い棒(これはゴールドのことではなく、メタル(金属)の意味です)に縛っておけと言うのです。

そして一方では、金柅とは、糸車の枠であるという説もあります。

巽は糸で、二~上爻の陽が金のように丈夫な糸車だというのです。

そしてこの初爻の糸を、糸車に繋いで解いてやらないようにしておくというのが貞吉です。

陰というのは媚態・蠱惑・奸策などで人を引っ張り、まつわりつくものだとし、これを金柅に繋いでおくのだと言っていますので、
金柅とは糸車の枠と見る方が穏当かもしれません。

このように壮んな陰を進ませず、貞く動かないようにしておけば吉であるが、そうでなければ凶を見ると言うのです。

今ここにある陰は、わずかに一つだけですが、後には強くなるから止めなくてはならないということを「贏豕孚するも?躅す」と示しています。贏豕というのは、痩せた豕、力の弱い豕です。

いくら温順にさせようと心をかけてやっても、痩せ豚であっても飛んだり跳ねたり(蹢躅)して、じっとしていないのです。

今は一陰で力弱いものだからと言っても、力が弱ければ弱いなりに手に負えない奴であります。

これが、大きく強くなったりしたら大変なことになりますので、早く金柅に繋いで、往く攸がないように留意しなくてはならないというのです。

加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)


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