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<爻辞>
「訟、元吉」
<読み方>
うったえ、げんきつ。
<爻辞の意味>
「様々な訴え事を、このように正しく立派な者が裁くのだから、大変よろしい」
訴えや争いを課題とした、この天水訟の卦(か)において、この五爻だけは訴え争う者ではなく、そうした訴えを聞いてやる側です。
いわば裁判長のような存在です。
しかも、この裁判長の役割を担う五爻は、強くて優れた存在です。
このような者が裁きに当たるわけですから、大変よろしいと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
この五爻は、訟えをする側ではなく、聴く側であり裁くのだから元吉なのです。
聴いて裁くのは、この五爻は剛健中正、乾の主爻でもあり、訟の時の粉雑を救うものだからです。
適材適所だから元吉なのです。
この卦の中で、吉の辞がかけられているのは初爻、三爻、四爻です。
しかし、それぞれ「~すれば吉」といったように相当厳しい条件に従えば初めて吉となるという内容なので、果たして本当に吉を得られるのかどうかは未定なわけです。
それというのも、初・三爻は陰柔であることがかえって訟の時に適い、訟の意思を貫く気力がないために「愓れて中すれば吉」に至るのですが、一歩間違えれば凶へ転落する危険もあるわけです。
したがって、この五爻だけが卦の主爻で、訟の裁きをするものなので、訟えをする初・三爻とは違って陽の剛健と中正をもって吉を得るのです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)