りいか ほんか
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━ ━主爻
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<卦辞>
「離は貞に利ろし。亨る。牝牛を畜えば吉」
<読み方>
りは ていに よろし。とおる。 ひんぎゅうを やしなえば きち。
<説明の要点>
この卦は、「麗く(つく)」や「炎上」という火の性質を主にして見ています。
火そのものというよりは、物について火を燃え上がらせることによって、初めて火というものが生まれるわけです。
ですから、水が方円の器に随うのと少し似ていますが、 見方によっては大きな相違があるとも言えます。
何故かというと、水は方円の器のままに随いこそすれ、たとえ器を取り除いても水は水としての相(すがた)をどこかに保っています。
しかし火は、燃えているその物を離れては、もう火としての存在はなくなってしまいます。
それで彖伝などでも「離は麗く(つく)なり」という見方を基礎として、この卦を解して いるわけです。
離の象は火。その性は「麗く(つく)」です。
「つく」ためにはまず、つくべき物を選び、正しいものに従ってこそ初めて亨る道を得る。
それは、何にでも火をつけさえすれば良いというわけでなく、石や濡れた木などでは燃えません。
燃えて、火としての力を発揮できる物につかなくては、燃えないのと同じなのです。
そして、他について自分の能(はたらき)を表していくには、自分は従属・依存の立場であることをよく心得て、己を立てることを慎み、まるで人に従順な牝牛にでもなっ たように自分を慣らしていってこそ吉を得られます。
それはちょうど、この卦の主爻である六二が陰で中正の順徳があるように、または人間にとって、なくてはならない火でも、限度を超えて燃え上がると、ひどい災厄を生むようなもので、あくまでも慎み用いるものでなくてはならない。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)