らいちよ ほんか
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━━━主爻
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<卦辞>
「予は侯を建て師を行るに利ろし」
<読み方>
よは こうをたて しを やるに よろし。
<説明の要点>
「雷地予」とは、冬の間は潜んでいた雷気が地上に奮い出るという意味の卦です。
このような卦の象・意は、誰しも則り用いたいもので、蒋介石を始め、謝介石、松村介石など、この卦の爻辞を取って名前にしています。
「予」とは、予言とか予想とか、予期などというふうに使われ、「あらかじめ」することです。
事をなすのに前々から準備し、順を踏んで行っていけば、たいていのことは支障なく進んで良い結果を得ます。
好結果を得れば誰でも悦びますから、予をもって悦びとするのです。
逆に言えば、悦びを得るためには何事もあらかじめ備え、進んで行かなくてはならないということにもなります。
「備えあれば、福来る」です。
このように予には、「あらかじめする」意と、「悦び楽しむ」の二つの意味があるわけです。
雷地に対し、なぜこのような意の予が付けられたかと言えば、冬の間は潜んでいた雷気が地の上(地上)に奮い出たわけですが、これはいきなり奮い出たわけではなく秋に潜んで以来、時が来るのを待って現れたので、そこに「あらかじめ」を見たのです。
そうして春になって雷が奮い出ると、永い冬から解放された人間や生物・植物は、ハツラツとした生気を取り戻し歓声をあげます。
これが悦びの卦意です。
「侯を建つる」とは屯の卦で説明された通りです。
「師」とは戦のことで、戦には将と兵を備えなくてはなりません。
この卦は、君側の四爻に一陽があり、これが衆陰を統率する象なので師(戦)を用いる態が整っています。
外卦の震を侯とし奮い進むとし、内卦の坤を衆とし従うとしますので侯を建てて民従う象があります。
それを「侯を建て師を行るに利ろし」と言っているのです。
ただ戦争を行うのに利があるという意味ではなく、侯を建てて民を治めるのに良く、師を行るのに良いと「利」が両方の事柄にかかっています。
しばらくして予の悦び楽しみを、天下にもたらすことができると言うのです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)